ことばのひだコンビニのレジで、なぜか涙が出そうになった話2
仕事帰りのコンビニでの店員の「袋、いりますか?」という優しい一言が心に響き、孤独を感じていた自分に気づいた。小さな優しさが誰かの心を救うことがあると実感した。
#日常のひとこま#ふとした気持ち#ことばにならない想い#よわねエッセイ
1. いつものように、なんてことのない日だった
仕事帰り、駅前のコンビニに立ち寄った。 おにぎりとペットボトルのお茶。 いつもと同じ。とくに理由もなく、なんとなく選んだ。
レジに並ぶ人たちの後ろに立って、ぼんやりと天井を見上げていた。 眠いのか、疲れているのか、自分の感情さえもよくわからない。
2. 「袋、いりますか?」のひとこと
わたしの番になって、店員さんがこちらを見た。 「袋、いりますか?」と、やさしい声。
その瞬間、なぜか胸の奥がぐっと詰まった。
「いえ、大丈夫です」 そう言いながら、少しだけ視線を落とす。 なんでもない言葉なのに、 そのやさしさに、押しつぶされそうになった。
3. たぶん、さびしかったんだと思う
家に帰ってから気づいた。 あのとき、わたしは誰かに気づいてほしかったのかもしれない。
なにかに失望していたわけでも、 特別な悲しみがあったわけでもない。
でも、静かに心が乾いていた。知らないあいだに。
4. やさしい言葉は、ほんとうに小さな声で届く
「袋、いりますか?」 たったそれだけの一言が、 今日一日の中で、いちばん心にしみた。
やさしさって、大きな声じゃない。 やわらかくて、静かで、気づかれないくらいの温度。 でも、ちゃんと届くときがある。
5. 今日も、だれかの“なんでもない”が、だれかの“救い”になっているかもしれない
あの店員さんは、きっと気づいていない。 あの一言で、わたしが少しだけ救われたこと。
わたしも、知らないうちに、 だれかの心をすこしだけ揺らすことがあるのだろうか。
そうだとしたら、なんだか少しだけ、生きていていいような気がした。